2017.02.28

浦河町観光ワーキンググループ視察レポート③~大樹町~

《平成28年度浦河町観光・まちおこし・ひとづくり事業》

 観光ワーキンググループ視察研修 

¶ 2017/2/4(土)・5(日)

¶ 視察先: クスろ、阿寒湖アイヌコタン、NPO法人阿寒観光協会、大樹町地域おこし協力隊


☞ 浦河町観光ワーキンググループ

浦河町では、浦河町民による主体的かつ自立的なまちづくりの推進を目指し、業種を問わず、様々なメンバーから成るワーキングチームを2015年4月より組織しています。『観光からのまちづくり』を基軸として、これまで『うらかわ旅』ウェブサイトの開設、浦河の「食」のプロモーション映像の作成、多様なテーマによる各種勉強会等を行っています。


阿寒湖にて、2日目の朝を迎えました。

あさイチ参加したのはNPO法人阿寒観光協会が主催する、白銀の阿寒湖早朝散歩ツアー

なんと6時20分集合です。


さ、寒い・・

専門のガイドさんに最初に簡単なレクチャーをしていただき、湖上を歩いていきます。


すっかり一面凍りついた阿寒湖ですが、氷の表面を切り出してみるとこれだけの厚さになるそうです。アクティビティを楽しむために車も沢山湖上に停まっているのですがこれだけ厚ければ安心ですね。


雄阿寒岳の裾野から、だんだんと陽が昇ってきます。

この日はなんとマイナス17度。本州出身の私は、まつ毛や前髪が凍るのも、空気中にきらきらと光るダイヤモンドダストを見るのも初体験でした。



『霜の花』『冬の華』とも呼ばれるフロストフラワーも、僅かですが見ることが出来ました。朝日に照らされて、なんとも美しかったです。


フロストフラワーの現れる中島を折り返し地点に、朝日を浴びつつ町の方へ戻ります。
観光客の安全を保障し、背景にあるストーリーを伝えるインタープリターの役割を担うガイドによって、この地域の厳しい自然が創る美しい景色と外からの観光客が繋がることができること。その地域では当たり前とされている景色も、価値のある『観光』資源として、この地域ならではの体験プログラムとなって観光客に提供されていることを、身をもって知ることが出来ました。

誰に、なにを感じて欲しくて、どう伝えるかを工夫する。よくいわれる地域資源の磨き上げですが、基本的となるマーケティングの考え方をもっと勉強しなければならないなと感じさせられました。

さて、阿寒湖を後にし、大樹町へ向かいます。

 


迎えて下さったのは、大樹町地域おこし協力隊の中神美佳さん。

大樹町出身で、早稲田大学を卒業後、東京での勤務を経て2年前に大樹町にUターンしたという中神さん。現在は地域おこし協力隊として、『地域に定住するナリワイづくり』をメインミッションに、ふるさと納税に関する情報発信業務、道の駅での生産者の売場作り、地域の課題を解決する合同会社の運営など、多岐にわたる業務を担当されています。

浦河町の民間事業者主導で開催されているレシート祭の企画運営に携わるU氏、URAKAWA YAMORIという浦河町の若手建築グループを組織するO氏が今回の視察に加わって下さったこともあり、今回は中神さんが中心となっている取組のうち、以下の二つを主にヒアリングしてきました。

✩ 宇宙の森フェス :2016年9月初開催。宇宙のまち大樹町をより親しみやすい形でPRするために企画された、音楽・食・アート・宇宙・自然が楽しめる野外フェス。

✩ 空き家でみんなの遊び場・仕事場をつくろうプロジェクト :大樹町内の空き家を借り、有志を募り建物をDIYしながら町内の若者の集える遊び場・仕事場を創ろう!という取り組みです。



どんな仕事も『自分のまちを好きな人を増やすため』、町民の思いを全力でバックアップする存在でありたいと仰っていました。

宇宙の森フェスは25歳の女性役場職員の「やりたい!」という思いの下に、20代~30代の9名の実行委員会が組織され、大樹=『宇宙』&『森』というコンセプトメイキングやターゲティングに始まるイベントの企画、スポンサーまわり、出演アーティストとの交渉、90メディア以上を対象とした広報活動、会場内の装飾… 全て大樹の方々の手で行われたとのことでした。

1年目にして来場者は600名を超え、大盛況のうちに終えたという宇宙の森フェス。こちらの動画からも賑わいの様子が伝わってきます。☞<Youtube>宇宙の森フェス2016ダイジェスト

いわゆる地方における若者の流出問題はどの地域でも叫ばれて久しいですが、地方の20代・30代のひとたちが中心となって、まちに自分たちが楽しいと思えることや居場所を創っていくことでだんだんと輪が広がり地域の力が高まっていく。

何かを始めるうえで先まで見据えて慎重になることも大切だけれども、やりたいという純粋な思いをもって周りを巻き込む勢いで進めていくこともまた、非常に大切なのかもしれないと思いました。


そして空き店舗を活用して、コワーキング・イベントスペースを創ろうという現場にお邪魔してきました。

宇宙の森フェスで集ったメンバーを中心にそれぞれお金を出し合い、中心市街地の一角にあるこちらの建物を借りているそうです。

今春のOPENを目指して、現在は誰でもウェルカム!という姿勢で、DIYワークショップを開くなどして場づくりの仲間を募りつつ改装を進めているところ。

メンバーで合計40万の出資をして始めたというこのプロジェクト、建物を維持できるだけの収益を得るためのイベント企画も様々考案中だそうですが、2年でダメなら即撤退!とメンバーや大家さんとも決めているとのこと。

大樹町がいつかはこうなったらいいという中神さんの思いと、そのぶんの覚悟から生まれるパワーに圧倒されました。


自分の好きなまちのために取り組まれているという画期的な2つのプロジェクト。

イベントや場づくりの具体的な手法について中神さんから伺ったことで、かたちを変えて浦河らしいなにかを作っていける、そんな思いが参加者の間でふつふつと湧きつつ半ば興奮気味で浦河への帰路につきました。

1泊2日の浦河町観光ワーキンググループ視察研修、短くもとても充実した二日間でした。

以下、視察を終えた参加メンバーからの声を一部紹介したいと思います。

■ 浦河でも多くあるシャッター店舗・空き家、これらをコミンや大樹町のプロジェクトのように有効活用したい。

■ やるべきことは意欲を持った人が一歩踏み出せる仕組みづくりだと思います。やりたいと思ったときに否定するひとがいたり場所が見つからないなどの障害をなくすことで自主的に始めたい人を作り出すことが大事だと感じました。

■ 今回の視察で一番感じたことは、何か新しいことを始めるにあたって慎重になりすぎてもダメなんだということ。『勢い』という言葉も大事だなと今回色々な人たちと出会い感じました。

■ 《クスろ・人めぐりツアー⦆浦河町にも、農業・漁業・馬・酪農・音楽・建築・飲食業と面白いひとが沢山います。体験が少し、トークをたっぷりというツアーが良いと思います。

■ 今回の視察でアイヌ文化ときちんと向き合えたこともすごく大きく、会場でアイヌ民族の方に聞いた話は本当に身に染みるものがありました。新しいことを始めるということは、ゼロからのスタートなんだから、せめて笑顔、元気で楽しもう!!そう、感じられる瞬間が多かったです。

■ 今後、利益を生めるイベントを開催したい。外から知恵は借りるが、手は借りず、地元の出展者、地元人のみの実行委員会で固める。ただイベントを開催するだけではなく、参加者が『自分も頭になってこれをやりたい!』と思う人を発掘したい。

 

浦河でもきっとできる事を理想だけに留まらず、来年度から徐々にかたちにしていきたいと考えています。

今回の視察研修に携わってくださった釧路・阿寒・大樹町の皆様ありがとうございました!

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